2010年4月26日月曜日

# 「本日締め切り」 技術はうそをつかない

先日投票をお願いした社会起業のビジネスプラン、MIT IDEAS competitionの発表会が本日4月6日に行われる。投票をお願いしたものの他のチームの票がものすごい勢いで伸び、残念ながら現在6位と遅れをとってる。それもそのはず、ブログやfacebookには宣伝させていただいたけれども、他にはあまり活動をしなかった。一方で他の参加者をみてみると、先週ずっと知り合いや知り合いの知り合いにまでメールを送りつづけ、投票をお願いしていた。自分にも他のチームの投票をお願いするメールが何通か届いた。




正直、この投票で賞金が発生するのには疑問があるのだけれも、それはおそらくコンペの本番で証明されるだろう。webには現在1500字しか書かれていないために、各チーム提案されているプロジェクトは一見すばらしいものばかり。しかし実物をみてがっかりする人も多いだろう。

我々が提案しているExo-Kneeという名前の義足は、インドのJaipurfootというNPOと一緒に開発したもの。

exo-knee2.jpg

ExoはExoskeletal(外骨格)を意味していて、外側に下腿素材を使うことで、人の膝のような形に見せることができる(これが現地の人には非常に重要)。そして、足が地面についているときには膝がロックされ、地面から離れているときには膝がフリーになる。言葉にすれば単純だが、それを形にするのにはかなりの時間が必要とされる。われわれはこの過程に2年間費やし、いろいろな実験を行ってきた。そして今年、この義足の長期大規模な試験を行い、来年以降からインドに普及させようとしている。義足は、ランプや水の浄水器とはちょっと違い、普通の経路で単純に売ることができない。それは価格だけの問題ではなく、義足を患者にフィットさせるための技術者、機材が必要となるからだ。われわれは義足の普及プロセスにもKopernikと協力して、アイデアを提案させていただいている。



2010年4月24日土曜日

はじめまして

先日IDEAS competitionについて、投票をお願いする記事を書きました。
その後、非常にたくさんに方の支持をいただきました。現在22チーム中5位に位置しています。
正直、他のチームの組織票を前にどうしたものか悩みましたが、投票よりも本質で勝負するということを考え、4/26にあるJudging Sessionをがんばろうということをメンバーと話をしました。

そのExo-Kneeとよばれる義足ですが、ASME主催のishowというコンペでセミファイナリストに選ばれました。

ishowとは学生を対象とした、イノベーションとアントレプレナーを推進するためのコンペティションです。同じファイナリストの中には同じD-labの仲間のAmos Winterが作ったLeveraged Freedom Wheelchairや義足のクラスを2008年に受講したKarina Pikhartもチーム内にいる6dot Braille Labelerもいます。これらの2つのチームはいろいろなメディアに取り上げられ、さまざまな賞を受賞している強敵です。他のチームのことは知りませんが、同じセミファイナルに残ってきたチームなので、すばらしいものであることは間違いないです。

Judging Sessionは6月5日、Pittsburghです。決勝もたのしみですが、念願のFalling Waterも見にいくことができそうです。楽しみ。

2010年4月21日水曜日

IDEAS competition、清き一票を

現在新しく作っている途上国向けの義足とその普及方法に関するアイデアを、MITのIDEAS Competitionに出しました。

test.png

IDEAS Competitionとは100Kと並ぶ、大規模なビジネスプランコンテストの1つ。ただし、このIDEAS Competitionは途上国向けの適正技術とそのビジネスプランに特化したものです。
このブログでも宣伝させてもらっています。

このプロジェクトでは、以前から開発しているExo-Kneeとよばれる膝義足の技術とその普及方法に新しいイノベーションが含まれています。詳しくはこのページのIdea Pitchを読んでみてください。
ほかにもおもしろいプロジェクトはたくさんあります。もしExo-Kneeを気に入っていただいたら、投票をお願い致します。

投票にはここで登録が必要です。MIT Friendとしてだれでも投票できます。

獲得賞金は夏に予定されている大規模な実地試験と今後の普及活動に使う予定ですどうかよろしくお願い致します。

2010年4月14日水曜日

3/20に行われた「大学」x「技術」x「BOP」日本発、世界を変えるイノベーションの様子が、youtubeに徐々にアップロードされています。その中で自分の発表をみてみると、相当テンパっていますね。ちょっとがっかり。

おそらく全部アップされたらここに記事がアップされるかと思いますが、とりあえず自分の分をはずかしいですがここで紹介しておきます。

発表1

発表2

発表3


パネル



自分が英語をしゃべっているのをはじめてみたかも。

近々、「遠藤さんロボットはもうやめたのですか?」と聞かれます。そんなこともなければ、ロボット大好きです。この発表の前日にも未来館にいってアシモをみてきました。そういう方向性も認めつつ、本当に役立つものがなんなのかというのを考え、BOPに目を向けたことが、エンジニアとしての原点回帰になりました。勉強は続けていますが、相変わらずビジネスは苦手です。起業はしないと思いますが、BOP関連のイベントにはたくさん参加しております。

このように興味が広がり、いろいろと手を出し始めると忙しくなり、仕事がまわらなくなったときに必ず「本職に戻れ」という言葉を思い出します。しばらくは、博士論文に集中しようかと。

2010年4月7日水曜日

予定がぎーっしり

忘れないうちに帰国したときに参加したイベントの振り返り。

3/18 Alliance for Global Sustainability, にて講演、パネル
非常に大規模な学術的イベント。非常におもしろい出会いがたくさんあった。東大のi.schoolは人間の学びの課程とその後起こるイノベーションを形式化することに重きを置くのに対し,MITのD-labは生まれてくるプロダクトがいかに社会に貢献するかということを重視している。この2つのアクティビティは非常に相性が良く、今後のコラボレーションが楽しみ。パネルから参加された槍目先生はこのような活動が、学術的に評価されにくいことに問題意識をもっており、これはわれわれが前から感じていたことでもあり、今後いかにしてパブリシティを増やしていくかというところで協業できそう。さらにその日の夜のバンケットで原丈人さんと話をする機会を得た。「やりたいこと(考古学)をやっていたらこうなった」といいながら、ものすごい質と数のベンチャー企業の記事をみせてくださった。どうやったらこうなるんだろう。すごい。。

3/19 ETIC 「途上国の問題を日本の最先端技術で救うにて」にて講演
中小企業からの参加を期待していたけれどもふたを開けてみたら、大部分が学生や個人の参加。それでもディスカッションはかなりの盛り上がりをみせた。始めにKopernik中村さん、MITD-labよりJoseから自分たちがもっている技術を紹介し、続いていかにその技術を改善するかというディスカッションをグループ別に行う。そこで、慶應ビジネススクールの岡田先生とBOP向けのビジネスモデルについて話が盛り上がる。現在、ものを直接ローカルの人たちに売ることは難しく、Kopernikのような寄付、Kivaのようなローン、あるいはグラミンのようなマイクロファイナンスを絡めたモデルが常套手段になっている。これを打破する新しいモデルとはなんだろうか? また同じグループに、黒川先生より以前からメールで紹介されていた三好くんと遭遇。BADO企画の世界一周に参加するらしい。なんでも個人向けの奨学金を考えているらしい。BOPでのマクロからマイクロへ目が向くトレンドにまた新しいモデルを提案している。ボストンでの再会が楽しみ。

3/20 「大学」x「技術」x「BOP」日本発、世界を変えるイノベーション 講演とパネル
以前1月に黒川先生に声をかけていただいてから、仲間といっしょに企画してきたイベント。登録者数250人を超える大きなイベントになった。自分の講演のあと、戦友金平さんがわざわざステージまできてくれてきつく包容。「義足のプロジェクト、進んでいてうれしいです」とお褒めの言葉をいただく。あまりに多くの参加者がいたために、自分を含めた講演者には常に人だかりができていて、講演者同士の交流があまりできなかった。九州大学のアシル先生ガイアイニシアティブ藤田さん、日本ポリグル小田さんなどただただお話がしたいだけだけれども、残念ながら一言も話すことはできませんでした。しかし、空想生活の西山さんとはイベント後にメールでつながり、明日NYでミーティングを予定。そこにKopernikの中村さんも加わり、おもしろそうなことが起こりそうな予感。片道4時間のバスも苦にならないです。書き忘れてはいけないのが、親友和博がきてくれたこと。スライドの彼に関するスライドも織り交ぜ、紹介することもできた。こういったことは単純にうれしい。
いろいろな方々がブログなどにまとめてくださっている。
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3/21 バスケ部後輩の結婚式
たまたま日本にいることを聞きつけた高校時代の後輩からメールをもらい、ドタサン。おそらく無理をいってもらって披露宴からの参加。東京か沼津かと思っていたらまさかの浜松。ひさびさにバスケ仲間に会えたし、参加できてよかった。本当におめでとう。

3/23 グローバルアジェンダゼミナールのゼミ生へ講演
帰国数週間前に、グローバルアジェンダゼミナールのゼミ生の一人からメールをいただいた。彼は昔所属していた研究室、北野共生システムプロジェクトの研究者だったが、現在はコンサルに勤めていた。なんでも黒川先生から僕の名前を聞きつけ、たまたま知り合いだったということもあり、今回の場を用意してくれた。場所がアカデミーヒルズ。六本木ヒルズの49階。眺めもよく、窓から東京タワーも見えた。このころになって、一連のイベントに参加する方々はきまっているということに気づく。NHKのキャスターの方にも会えた。

3/25 国連フォーラム「私の提言」 パネル
今回の帰国最後のイベント。Kopernik中村さんに紹介されてOKしたものの他のパネルがすごい方々だったので、非常に恐縮してしまった。しかしモデレータUNDPの西郡さんがうまくリードしてくださり、非常にいい雰囲気で、かつ非常に盛り上がりをみせ、2時間30分の時間が足りないと感じるくらいだった。すべてのパネリストの話がすばらしかったのだけれど、その中でもたまたま数分話をする機会があったHASUNAの白木さんの話に非常に感銘をうけてしまった。途上国では宝石や金属を採掘するのに、現地の人々がひどい扱いをうけているらしい。フェアトレードで扱われたものだけをあつかったジュエリーを扱っているのが、HASUNAである。結婚される方がいたら、ここで結婚指輪をオーダーしてみてはいかがでしょうか?
ここでのtweetがここでまとめられている。


ここに書いたことは、今回の帰国のほんの一部。総括すると、非常に面白い出会いがあったのは事実だが、毎回同じメンバーが違ったイベントに参加しているようだった。昨今日本でBOPという言葉がメディアで取り上げらるようになり、盛り上がりをみせているがまだまだ個人レベルで企業や大学、国といった組織を動かす大きなムーブメントにするためにはもうひとふたステップの工夫と行動が必要かと思った。この盛り上がりが空虚のまま終わらないうちに、アメリカからも横やりをいれつづけたいと思う。