2011年6月27日月曜日

ボストンでの豚骨醤油ラーメンの作り方

ボストン近辺で満足できる豚骨醤油ラーメンがないということで、数年前から作り出したラーメンですが、なかなか好評なので作り方を公開します。ただ、これは個人的に試行錯誤を重ねて自分の好みのものを作ったものです。もし、もっといい作り方があったら教えてください。

材料
1. 麺(中華系スーパーで売っているもの)
2. わかめ
3. 万能ネギ
4. 卵

煮豚
1. 豚肉(buttの部分)
2. 生姜
3. ネギ(特に青い部分)
4. 醤油 200ml
5. 料理酒 100ml
6. 砂糖大さじ1杯

豚骨スープ
1. 豚足
2. タマネギ
3. ネギ(特に青いネギ)
4. 生姜

煮豚の作り方
まずは油で豚肉をいためて表面に少し焦げ目をつけた後、醤油と料理酒と砂糖を上記の割合で豚肉の大きさにあわせて入れる。沸騰してきたら生姜の汁とネギの青い部分をいれて、1時間くらい煮込む。これだけ。

豚骨スープの作り方
以前げんこつを煮込んでいたんだけれど、煮込んだ後の骨を捨てなければならないということと、あまりにも部屋が豚臭くなることから、ぼくは豚足を使っています。これはなぜか豚骨よりも臭いが少ないのと、煮込んだ後に煮豚の汁をつかってテビチを作れる優れものです。

まず、豚足を沸騰したお湯にいれ2,3分煮込んだあとにいったんお湯を捨てます。そして再び新しいお湯を入れて、ネギの青いところ、皮ごときざんだ生姜、タマネギをいれます。その後、3時間くらい煮込めばお湯が白く濁ってきます。その後、豚足を取り除きます。豚骨スープの完成です。
煮込む前

1時間くらい煮込んだ後。豚骨の方はもう2時間ほど煮込みました


おまけ  テビチ(もどき)のつくりかた
テビチはただ、豚骨スープを作ったときに使った豚足を煮豚の汁にいれて10分くらい煮込むだけです。
テビチ、見た目はあれですがうまいですよ


おまけ 煮卵の作り方
ゆで卵を煮豚の煮汁に1時間くらいつけ込むだけ。
(今回はテビチだけやりました。)


豚骨醤油スープの作り方
煮豚の煮汁と豚骨スープを混ぜ合わせるだけです。おそらく、煮豚の煮汁をある程度濃く作らないとラーメンのスープのような濃い味にならないと思います。薄いと思ったら醤油を足してください。

麺について
中華系のスーパーで売っているいろいろな麺がありますが、ぼくが試した中では「雲呑粗麺」という名前の麺が一番あっていると思いました。これを沸騰したお湯にいれて5分ほどゆでれば食べられるようになります。ほぐしながら入れないと固まってしまうので注意。
麺を器にもってスープを注ぎ、わかめ、万能ネギ、煮豚、(今回は作らなかったけれど)煮卵をトッピングして完成です。


完成!! 今回は30人前ということで、煮卵は作りませんでした

ポイント
  • 豚のげんこつではなく、豚の足を使う理由は上述のように、あまり臭くなく、その後テビチも作れるから。もっと豚臭いのがすきであればげんこつを。
  • 煮豚の煮汁をスープに使うので、砂糖は控えめにした方がよい。
  • 煮豚の煮汁をスープに使うので、はじめの煮豚を作るときに濃いめの煮豚用のスープを多めに作る。
  • 生姜を入れすぎると酸味の強いスープができる。少なすぎるとスープが豚臭くなる。
  • パーティーによくだしていたので、食べる人が自分で麺をスープにいれるつけ麺のようにして食べてもらっています。なので、本当にラーメンのように食べるのであればもっと腰の強い麺がいいかと。
味に関しては、
  • 砂糖の量を増やすと、煮豚のうまみが増すけれども、スープがあまくなってしまう。
  • 生姜の量を増やすと、豚臭さを押さえるけれど、スープの酸味が強くなる。
というところがポイントかと思います。

いかがでしょうか?ご意見、ご感想お待ちしています。

2011年6月11日土曜日

世界一大きな問題のシンプルな解き方(Out of Poverty)出版の経緯

去年の4月、一人の男がD-labの壇上に立っていた。彼の名前はPaul Polak。ずばり、ぼくがこの業界で最も尊敬する人の一人である。途上国開発の分野でJeffry SuchsやStuart HartやC. K. Prahaladの名前を知っていても、彼の名前を知っている人はあまりいないだろう。Paul Polak氏の著書"Out of poverty"はMITのD-labで教科書として使われており、ぼくはこの本を何回読み直したかわからない。Paulから日本語版が未だ出版されていないという話を聞き、槌屋詩野さんを通じて英治出版さんに出版の話を持ち込んだのが去年のことだった。

この数年、日本では多くの途上国開発に関するビジネス書が翻訳、出版され、"BOP ビジネス"はさまざまな解釈をされてきた。僕自身、去年何回か日本に帰ったときに、多くのイベントに参加させていただいたが、そこで大きな違和感を感じた。それはイベントに来られた方々の多様性の少なさだった。日本で会社に勤めるいわゆる”文系”の人たち中心のビジネス主導で進むBOPブームに大きな違和感を感じた。そこで仲間たちと一緒に、デザイナーやエンジニアを巻き込んだ適正技術を用いたアプローチを日本で広げようと思い、「大学」x「技術」x「BOP」を行ったのが去年の3月のことだった。

一方で日本で何度かお会いした槌屋さんが自身のブログに技術主導に警報を鳴らすような記事を書いた。一瞬自分に対する挑戦かと思ったものの、よく読んでみると結局はぼくと同じような危機感を持っていたのだ。

デザインや技術、あるいはそのビジネスモデルはキャッチーであるため、飛びつきやすい。一方で現地の泥臭い、草の根レベルでの活動が伝わりづらいものばかりなのだ。途上国での活動で一番大切なのはこの部分であるにも関わらず、だ。ぼくが危機感を感じていたのは、現地の草の根レベルでの対話が、大事だといわれながらも無視され、BOPビジネスが議論されていたからだ。実際に途上国で泥にまみれながら、現地の人と対話を繰り返してきた実践者が少ないのも事実だ。ぼくが、この本を日本で出版したかった理由は、ぼくが大のPaul Polakファンであるのはもちろん、この本が一番大事な対話の部分を赤裸々に紹介している実用書であるからだ。

Paul Polakは元々は精神科医であったが、エンジニアでもあり、デザイナーでもあり、社会起業家でもあるといえる。しかし、エンジニアリングもデザインもビジネスもすべてツールでしかない。彼は手元のツールを駆使して、ただ目の前の人を助けようとシンプルに考え、灌漑装置を作り、現地に設置し、利用者の収入を向上させ、貧困層から脱却させた。貧困問題解決には、深い専門性はもちろん、幅広いスキルセットも必要となってくる。この専門性にとらわれない問題解決のプロセスにも目を向けてほしい。


専門分野に関わらず、途上国の人々を本気で助けようと思っているすべての人に読んでいただきたい一冊です。




最後にこの本の出版に際して、英治出版の下田さん、高野さんには本書の序文を書かせていただく機会をいただき、とても感謝しております。そして槌屋さんには、英治出版を推薦していただき、出版までこぎ着けることができました。何度か行ったskypeミーティングではとても有意義な議論をすることができました。これからもどうかよろしくお願いいたします。