2009年6月19日金曜日

いろいろ

またまたアカデミックな話。

先月、日本に3週間滞在し、ICRAロボメカに参加した。国内の学会は、毎回同じメンバーが顔を揃えるため、おそらく自分と同世代の研究者や有名な教授陣は知り合いで、自分の知り合いが非常に少ないことを痛感した。とくに懇親会では、ロボット着ぐるみコンテストというものが開催され、参加している教授や学生やその知り合いなどがみんな内輪で異常に盛り上がり、自分がアウェイにいるような感覚だった。それでも、着ぐるみコンテストは、見てて単純に楽しかったですが、これをみた同業者以外の人たちはどう思うのだろうか。。。。しかし、パクリはずるいとおもう。

ここ数年、自分の研究を日本語で発表することもなかなかなかったし、日本の研究者と日本語で議論することはなかったので、変な違和感を感じたけれど終始楽しむことはできた。

ここで、ちょっと感じたことを数点。

ODEについて
ODEと言えば、おそらくアメリカでは、いや少なくともうちの大学ではOrdinary Differential Equationのことで、シミュレーションでODEをつかったといえば、ただ微分方程式を解いたというようなニュアンスに聞こえる。しかし、日本ではODEといえば、Open Dynamics Engineらしい。そんなにはやっているものなのでしょうか。自分も修士まで使っていたライブラリなのだけれど、結局いろいろな理由で使わなくなったもの。当時はあまり使っている人もいなかったけれど、ロボメカでは使っている人が本当に多くてびっくりした。

impedance controlについて
impedance controlといえば、たとえばロボットアームの手先に仮想のインピーダンスを想定して、手先にかかる力に相当するトルクを各関節にかけるものを思いつく。しかし、ロボメカのある発表で関節のPD制御をインピーダンス制御といっている発表者がいて、発表を聞いていた人もそれに同意していた。確かに、関節のインピーダンスを制御しているのだけれど、これって日本全体でそうなんでしょうか?

歩行補助機について
HALのような機構のエグゾスケルトンに関する研究が異常に多かった。その機械を評価するのに筋肉のEMGを用いているものが多かったけれど、ある筋肉のEMGの信号が減少したからといって、その運動を補助しているとは限らない。そして、EMGはすべての筋肉から得られるものではないので、機械を作った->ある筋肉のEMGが減ったという研究が本当に多かったけれど、まだなにも結果を示せていないと思う。

というような質問をとある先生にしたのだけれど、これをブログに書くと、いろいろな人が答えをメールしてくれるかもよと言ってくれる人がいたので、書いてみました。研究批判ではなく、単純な感想です。

2009年6月17日水曜日

先日HUROBINTのイベントに参加させていただいた。
Hurobint2009.jpg

このイベントは、津田沼にある千葉工業大学で行われた。実際に開催場所に行って参加したわけではなく、skypeを使って講演者の発表を聞かせていただいたのだ。

このHUROBINTは日本でどれほど知名度があるのか、わからないけれど自分にとってはとてもありがたい団体である。というのも、彼らはこれまでに2回もMITに10名以上の日本人の若手研究者をつれてきて、ワークショップを開いている。留学していることは楽しいけれど、このような同世代同分野の日本人と知り合いになるチャンスはなかなかない。日本にいれば、ロボット関係者が集まるロボティクスメカトロニクスや日本ロボット学会学術講演会に参加できるのだが、留学生にはそれができない。HUROBINTはそんなぼくに、同世代の同業者をたくさん連れてきてくれた。

skypeで聞く発表は、ときどき声が途切れたり、聞きづらくはなるけれども、音質画質ともによいクオリティでとても楽しむことができた。あらかじめPDFでスライドを送っていただき、それを手元で見ながら、skypeのビデオでも映像を楽しむ。しかし、質疑応答の声が聞きづらいことや、pdfだとムービーがみれないうえに、skypeの映像ではムービーは見づらいなどといった欠点もある。改善していけばこのような会議でも使えるようにはなると思うのだけれど、なにか画期的なソフトウェアがあるような気がしてならない。どなたか、無償でつかえるマルチポイントビデオ会議システムを知っている方がいれば教えてください。

今回参加したのは、ただ単純にHUROBINTというものに参加したかったというのもあるが、9月にあるロボット学会学術講演会のリハーサルという理由もあった。このHUROBINTは9月のこの学会で、若手研究者のためのブレインストーミング-学際性と国際性の向上をめざして-と題して、オーガナイズドセッションを開く予定で、その中で留学生数名がskypeを通して発表するという試みをしようとしている。このような公の場に、海外に留学しながらも日本の学会から声をかけていただけることは本当にありがたいお話である。ほかにもおもしろそうなオーガナイズドセッションがたくさんあるけれども、ぜひたくさんの同世代研究者にきてもらいたい。

ちなみに千葉工業大学で行われたHUROBINTの直後、新型インフルエンザに感染した学生がみつかり、学生が学内立ち入り禁止になったそうな。そのために21日に予定されていたオープンキャンパスも中止になってしまったらしい。

とにかく、オーガナイザの方々本当にありがとう。そしておつかれさまでした。

2009年6月14日日曜日

富士山のふもとで、たねを育てる

世界の中心で。。、的なこのタイトルは先日行ってきた美術館でやっていた展示。

美術館というと自分とはほど遠いものといわれるかもしれないけれど、実はその昔工業デザイナーになりたかったと思っていたくらい、(あまりうまくないけれど)絵を描くのは好きで、いまでもえんぴつデッサンを研究の合間の空いた時間に描いている。

先日沼津にいる間に、クレマチスの丘にあるビュッフェ美術館で働いているいとこが、いろいろなパンフレットをおくってくれた。その中で「MITマン」という名前の気になる作品があったので、行ってきました。

MITマンを作ったのはFabrice Hyberというフランス生まれパリ在中のアーティストで、社会問題をアートという形で世界に発信している今はやりの社会派アーティストの一人。彼が注目しているのは「食文化」。彼の親が農業を営んでいたということもあり、彼は「たねを育てる」ことによって、都市を押し進めている東京のやみくもな追求と、そのことへの自覚に到達する方法とを組み合わせること、そしてそれを何度でも繰り返して説明しようとしている。

そんなことは、当時つゆ知らず美術館を歩いて回って気になった作品は2つ。

一つめはもちろんMITマン。もちろん名前が気になっただけ。
MITMAN.jpg

必要な栄養素を持つ野菜や果物が体のその場所につけられたオブジェ。例えば、頭部のカリフラワーは髪の毛を豊かにするものらしい。なぜMITマンとよばれているかというと、2007年彼がMITで有名な教授Robert Langerと出会って、共同で実施した研究成果。Robert Langerといえば、おそらくMITで1,2位を争う有名な教授でNatureへ論文をぽんぽん出している。彼のwebsiteを見てみると、彼の所属はbiologyでもbioengineeringでもHSTでもなく、Chemical Engineeringなんですね。とにかく、まったく専門でない自分が知っているくらい有名な先生ということ。彼のある一日の生活の風景がNaturenewsの記事になっていた。とても健康的な生活を送っているようだ。ちなみに、彼のところでポスドクをやることになっている友人にこのMITマンをみせたけれど、やっぱり知らなかった。


もうひとつがこれ。

uzumaki.jpg

その展示には、さまざまな食、生き物、技術をモチーフに描かれた彼の習作が壁にびっしりと、不規則に貼り付けられていた。その中でなぜこれが気になったからというと、だたこれをみて、うずしおキングを連想してしまったから。。

と変な感想ばかり書いてしまったけれど、全体的にただのアートとしてではなく、社会問題をアートで表現するという、今となってはありきたりになってしまったことだけれども、彼の場合にはより科学者に近い視点をもっているような印象を受けた。しかし、正直このようなアートをみても素人にはやっぱり理解しがたく、自分にはNorman Rockwellのようなわかりやすい絵を見ているほうがいいかなとも思った。

2009年6月11日木曜日

日本から帰ってきたときからか、このブログのアクセス数が増えたので、アクセスログをみてみると、不思議なことにgoogleから直接きている人が多かった。検索キーワードはHugh Herrやmedia lab、留学などが多かった。日本に帰国したときに会った人が、がんばってさがしてくれたのだろうか、それともただHugh Herrが有名になっただけか。いずれにせよ、最近非常に多くの人がここを訪れてくれているみたいでうれしいかぎりです。。また学会でいろいろな人にあったけれど、意外に多かったのが初対面だけれど、このブログをよんでくれている人が少なくなかったのに驚きました。

そんな同業者のみなさん、遅れること9日、やっとIROSの通知がありました。無事にアクセプトされたので、ぜひぜひ10月にまた会いましょう。ちなみに1650通以上の論文の中から900通の論文がアクセプトされたようです。約54%なので、そこまで低くならなかったみたいです。よかったよかった。