アメリカにきてから、4度目の春セメスターが始まった。もはや、去年に卒業に必要な授業をすべてとったため、、今年からは勉強したいものをとることができるようになり以前にもまして余裕が生まれた。それと同時に卒業へのプレッシャーも徐々に感じるようになってきた。
今年の春セメスターは2つの教科を教える立場になった。
まず一つ目は去年も行ったDeveloping World Prostheticsという名前の授業。去年のLecturerが現在Northwestern Univ.のMedical schoolに入学してしまったため、半ば強引に押しつけられた形でLecturerになるはめになった。
授業の内容は基本的には去年と同じ。発展途上国に用いられている義足の技術、社会保険の制度、用いることのできる材料、患者の数を勉強しつつ、インドやカンボジアで用いることのできる義足の設計、制作を行うというもの。授業が終わっても、やる気のある学生は夏休み中にプロジェクトを続けることができ、うまくいけばできたものを実際に現場にもっていき、テストをすることになっている。授業を受けた20人の中から、2人の学生がインドに出向き、彼らが作った義足を現地のクリニックでテストすることができた。いまでもこのプロジェクトはつづいていて、今年の夏も行くらしい。
じつは今年は2週間ほどまえまで、2人の学生しか登録されていなかった。このままでは授業を行うことができないと思い、1週間を使って、MIT全体にポスターをはったり、航空宇宙・EECS・HST・機械学科の学部生のメーリングリストにクラスの宣伝メールを行った。その甲斐あって、最初の授業には15人の学生が授業にきてくれた。今年は何人の学生が夏に現地にいくことができるであろうか。
そして2つめの授業の名前はHuman 2.0。この授業はアドバイザーが今年から始めて教える授業で、TAをやることになった。授業の内容は実はあまり理解していないのだけれど、人間の脚部のセミナーから始まって、上半身、記憶、感情などの人間の要所要所の機能のメカニズムを勉強し、最終的にはプロジェクトとして人間の何かしらの機能を向上させるをするものをつくらなければいけないらしい。
という感じですでに、忙しいながらも、楽しみながら日々を送っています。こっちに来たばかりのときには、自分がいままで学んで機械工学、メカトロの知識を義足に役立てるんだって意気込んていたけれど、いまとなってはすっかり、人間の複雑さ・頑強さ・柔軟さに惹かれるようになった。筋肉一つをとっても、あれだけの機能を再現できる機械要素はみつからない。そんな筋肉を500個以上もつかって毎日体を動かしている人間はすごい。
発展途上国向けに作ったものが逆に先進国に普及してく、というものは次第に増えていくんじゃないかと思います。義足もそうかもしんない。
返信削除こないだ大阪のロボティクスな先生の話を聞いていたところ、日本では補綴具とノーマライゼーションの定義が間違ってるという主張がありました。補綴具を使うことでノーマライゼーションを達成するというのはおかしい。補綴はどこまで行っても補うもので誰もが使いたいものではない。人類みんなが使える、使いたいと思うもの、例えばめがねみたいに普及する、これが出来て初めてノーマライゼーションになると。h2.0は「補綴」をどんな言葉に変えるのでしょうか、期待してます。
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