去年の12月、ほとんどの研究室が古いメディアラボの建物から新しい建物に引っ越した。
そして昨日と今日、そのオープニングセレモニーとして、昨日が関係者向けのイベント、そして今日が一般向けのイベントがあった。
New home for innovation, design, and the arts
Media Lab Complex formally opens this week
cnetより
関係者向けのイベントでは、自分を含む学生はオープンハウスで自分の研究をお客さんにデモを行った。引っ越してからの初めてのデモだった上に、初めて3つのグループが同じスペースでデモを行うということだったので、準備に非常に時間がかかった。昔のメディアラボを見たことがある方は知ってるでしょうが、昔Cubeという広いオープンスペースを複数の異なる研究グループがシェアすることによって、グループ間のインタラクションが生まれた経緯がある。このアイデアを用いて、新しい建物ではcubeのようなオープンスペースが複数個あり、そこに3,4つの研究プロジェクトが共存するシステムを採用している。さらに、外から窓越しにオープンスペースの中をみれるので、建物自体が大きなショーケースになっている。さらにさらに、いままでにない太陽の光がどのスペースにも行き届くので、いままで地下にいた我々のグループにとっては、まぶしいくらい明るい空間になっている。
デモのあとは6階のカンファレンスルームでMITのpresidentのSusan Hockfield氏、建物を設計した槇総合計画事務所の槇文彦さん、そしてメディアラボのFaculty数名によるトークが行われた。
その後、幸運にも槇さんと副所長の亀本ゲイリーさんとお話をする機会を得た。私は、沼津市にある加藤学園暁秀初等学校が母校なのだが、この建物は実は槇総合計画事務所が設計した建物であった。この話をしたときにゲイリーさんに「この建物と似ているでしょ?」と聞かれ、確かにそう感じていた。その小学校も「カベのない学校」というキャッチフレーズのとおり、大きなオープンスペースに2つの学年が共存して、部屋の別々の場所で違う授業が行われているのである。その結果、クラスや学年、先生の間にかべを感じることはなかった。子供のころはそれが普通だと思っていて、中学に入学してから、"普通"の教室にびっくりしたものである。小学校のときの感覚は、この新しい建物にも共通するもので、プロジェクト間のかべはまったく感じなくなった。これまで、我々が地下にいて孤立していたからもしれないが。。。そしてちゃっかりツーショット写真もとっていただいた。
次の日、朝から一般向けのイベントが催された。槇さん、ゲイリーさんをはじめ、建設に携わった方々のトークとパネルが行われた。その中で、いろいろな建設のエピソードを聞くことができた。
まずは、旧メディアラボよりも狭い敷地内により多くのコンテンツを詰め込むのに、日本人がいいだろうということで槇さんに白羽の矢があたり、メディアラボの教授William Mitchell氏が日本へいってお願いをした。
フランク・ゲーリー氏のStata Centerとの比較が良く話しに出てきた。Stata centerは外部の人が一階を歩き回ることができることに対し、新しいメディアラボは6階まで階段であがることができ、さらに研究スペースをガラス越しにのぞくことが出来る。Stata Centerは外部も内部もplayfulなのに対し、新しいメディアラボは外側はseriousに、そして中はplayfulに仕上げた。これはとなりのI.M. Peiが設計した旧メディアラボと並んでもおかしくないような外観にするためである。そして、新メディアラボの窓の外側に並んだすだれのようなものは、槇設計事務所であるヒルサイドウエストと同じもので、窓からは適度に太陽光を遮断し、居心地の良い空間を作っている。
新しいメディアラボの写真はこちらやこちら。
この二日間、槇さんのトークを2回聞く機会があり、槇さんは同じことを二回繰り返した。
「この建物を完成できたことを例えていうなら、今81歳である自分がまた現役選手としてオリンピックに出場し、自己最高のスコアをたたき出すことができたということがいえる。」
歳からは考えられないくらいアクティブで、話しかけると非常に気さくな槇さんでした。
Stataの住人です。うちみたいに雨漏りしたりヒビが入ったりしないことを願っております(笑)
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