2008年7月9日水曜日

先日、メディアラボのweekly letterの中にこんな記事があった。知らないうちのアドバイザーが取材されていたようだ。

Military inventions hit the civilian market

要約すると、「イラク戦争前は政府はあまり義足開発に興味を持たなかったけれど、戦争の後になると研究費が沢山もらえるようになった。このように戦争によって科学技術が進歩するといったサイクルが昔からある。」というようなことが書いてある。

自分の周りの友人もDARPAの研究をしている人がいるし、そういう自分もTATRCのプロジェクトをResearch assistantとして行っているから、学費と生活費をまかなうことができる。ちなみにDARPAもTATRCもDoDの一部。各ページをみてみると、迷彩服を来た軍人がライフルを持っていたり、戦車が砂煙をあげて走っていたりと、あからさまに戦争を彷彿させるようなイメージがあるため、おそらく多くの日本人はいい印象を受けないと思う。このようなプロジェクトから生まれたロボットたちもあからさまに戦争を意識したものが多い。1 2 3 4。そしてこのような動画が日本のメディアに現れるたびに、「アメリカは軍にお金を使い過ぎ」「アメリカは科学技術を兵器にしかつかわない」というようなアメリカ批判をよく目にする。たしかにそういう印象を持つのはわかるけれど、自分もその一部であるため、ちょっとはそういった否定的な見方に反論できないかと思い、素人なりにいろいろと調べてみた。

まず軍事費だけを単純にみてみると、やはりアメリカの数値が他の国より群を抜いている。たとえば、Stockholm International Peace Research Instituteの資料をみてみると、アメリカの軍事費は2位のイギリスの約10倍である。この資料は各国の報告をもとにSIPRIが推測したものなので、ある程度誤差はあるだろうけれど、さすがにアメリカの1位をひっくり返すほどの誤差はないと思われる。日本も金額だけをみると、他の先進国に匹敵するほどの金額を軍事にあてていることがわかる。

military_SIPRIY.jpg


次にGDPと軍事費の割合をみてみた。CIAのfactbookをみてみるとOman、Qatar、Saudi ArabiaがGDPの10%以上を軍事費に当てているが、アメリカは4.09%。ちなみに日本はわずか0.08 0.8%。この値は少し古いうえに、軍事費は年によって(その年に勃発する紛争、戦争によって)変動するけれども、アメリカはここでも先進国の中では高い数値である。

factbook


ほかにもいろいろな情報源があるようだ。こことか。wikipediaはやっぱすごい。


しかし、よくよく考えてみると、日本では経済産業省や文部科学省のプロジェクトとして行われるようなものが、 アメリカではDARPAなど軍関係のプロジェクトとして行われているケースも多い。(もちろんNSFなどのような資金源もある) 果たして軍事費の中からどれくらいの割合で研究開発がおこなわれているのだろうか。

military_dod1.jpg

2006DoD newsより

これは軍事費を項目別に分けたものである。RDT&Eが研究開発費だろうか。この中の兵器開発の費用もあるだろうけれど、戦争とはまったく関係ないものも多くあるように思える。一方で日本はというと、具体的なデータは見つけられなかったけれど、得られた資料からは民間との共同開発はおこなわれている一方で、大学との連携は少ないようにおもえる。
(研究開発の資料より)

そもそも、日本には自衛隊を軍隊と呼ぶか呼ばないかという議論があるらしいけれど、こういった一連の資料からもわかるとおり、立派な軍隊として位置づけられている。そして最後に、日本にアメリカ軍隊が駐在し、一応守ってもらっているということもわすれてはならない。

何をもって軍事国家というのかはわからないけれど、こういったデータをみてみると、やっぱりアメリカは立派な軍事国家の一つであるといわざるを得ない。しかし、軍の研究=悪ときめつけて、頭ごなしに批判するのもどうかと思う。現に軍のお金を使って現在自分がやっている研究は義足であって、兵器ではない。

夜中に暇になって、いろいろ読み出したらとまらなくなってしまったので、一応記録に残そうと思って書いてみた。ここにはまちがったことも書いてあるかもしれないので、鵜呑みにしないほうがいいかも。

だって、しろうとだからよ。

6 件のコメント:

  1. 日本史で朝鮮戦争のおかげで日本は経済が発展したって習ったことを思い出しました!!

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  2. 日本の対GDP比0.08%というのは、恐らく間違いではないかと思います。日本では「防衛費の対GDP比1%未満」が不文律になっていて、そのぎりぎりを行っている筈です。
    日本は非常に軍事アレルギーが強いと思う。自衛隊が東大にお金を出したら、朝日新聞なんかがボコボコに叩くのでしょうからね。
    加えて、どの国でも命を張って国を守る兵士は尊敬される存在なのに、日本では自衛隊員の住民登録拒否、その子供の学校入学拒否なんていうことまで起きる。
    もちろん、日本に「並みの国」になれ、と言おうとは決して思わないけれども、日本の軍事アレルギーは行き過ぎていると感じること、数多です。

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  3. >chiaki
    日本史ね。。いまとなっては授業をうけた記憶もさだかではない。。
    >おの
    お、こういう話題に食いつくんだな。。。
    >日本の軍事アレルギー
    同感。
    >くろきさん
    あ、ほんとだ。。直しておきました。ありがとうございます。そのくらい認識がもうちょっと浸透すればいいですね。

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  4. ソースみると日本のは0.08じゃなくて0.8って書いてあるね。
    「軍事費を軍事以外のとこに使い込んでやる」ぐらいの意識がちょうどいいんではないかと思います。

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  5. 僕は軍事関係には不案内なので、僕が反応できるところは最後の一行だけでした。逆に最後の一行についてなら僕は半日語り続けることができます。天才ですから。

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  6. ほかの人がスルーしてたからどうしようっかと思ってた。よかったよかった。。。

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