1969年、ニールアームストロングが人類初、月面を踏みしめてから40年経った。それ以降NASAは100回以上ものスペースシャトルを打ち上げているが、そのプロジェクトも2010年に終わってしまうことが決定している。スペースシャトルが引退してしまうまえに一度は直接打ち上げを見てみたいと思い、航空宇宙工学科の友人数人を中心にオーランドに向かった。
小学校の頃、卒業アルバムに自分の好きな絵をコンピュータのスプラッシュというソフトウェアで描くことになって、自分が選んだ絵の題材はスペースシャトルだった。何かの本の表紙を見ながら、必死に描いたのを覚えている。残念ながらいま手元にはないけれども、放課後までのこって仕上げたりして、当時の自分としてはかなりの力作だったということを覚えている。その後、宇宙の学問に興味を持つことはなかったけれども、スペースシャトルの外観のかっこよさにあこがれたものだ。チャレンジャー号の事故はリアルタイムでテレビを見ていた。あまりにもショッキングな出来事なのでいまでも鮮明に覚えている。
今回のSTS-127の主なミッションは日本の実験棟の最後のパーツを国際宇宙ステーションに送り込むことと、宇宙ステーションに滞在中の若田さんの帰還である。6月に予定されていた発射なのだが、燃料漏れのせいで7月の延期されていた。
数日オーランドに滞在したが、サンダーストームのせいで今回も3回も発射が延期された。今回のミッションは国際宇宙ステーションに行かなければならないので、一日に10分ほどしかチャンスがないらしい。これは国際宇宙ステーションが90分に地球一周という、とてつもない速さで移動しているために、スペースシャトルもそれに合わせて打ち上げなければならないためである。これ以上ラボを休むわけにもいかず、自分は泣く泣くボストンに帰ってきたけれども、友人3人はオーランドに残って最後のチャンスにかけた。その甲斐あって、2009年7月15日エンデバー号は爆音とともに宇宙に飛び立った。
現地に残った友人がとったもの。
家でテレビでみたもの。
発射を英語でlaunchというけれども、プロジェクトを始めるときにもlaunchという言葉を使う。大抵の人は発射を見て満足するだろうけれども、実際は発射はただのプロジェクトの始まりで(実際には発射する前からだけれども)、クルーに取っては始まりでしかなかったのだ。発射した後もSTS-127のプロジェクトのニュースをRSSで追っていたので、宇宙でなにが行われているかを毎日チェックしていた。このニュースは非常にこまめにアップデートされていて、毎日クルーが何時にどんな音楽で目をさましているかまで記されていた。また、驚くべきことに若田さんは宇宙ステーションでブログを書いていて、その内容や写真は地球上での生活ではまったく想像もつかないようなものばかりで好奇心をあおられた。
そして、2009年7月31日にエンデバーはケネディスペースセンターに着陸した。若田さんは4ヶ月半も宇宙に滞在したにも関わらず、着陸直後の記者会見には元気な足取りで登場した。おそらく宇宙でのトレーニングを続けていたためだろう。それでも、骨がすかすかになるという現象は若田さんにも例外なくみられるもので、これからリハビリを行う予定だという。
今回のミッションの間、MITの宇宙おたくたちの話を聞いたりしていたために、これまで個人的に疑問におもっていたことがいろいろとわかった。
まずはexternal tankにはエンジンがついていないということ。シャトルは一番大きな燃料タンクの両脇に2つのsolid rocket boosterがついていて、その間にorbiterが蝉のようにくっついた状態で打ち上げられる。
external tankは写真の真ん中のオレンジ色の大きなやつで、orbiterで見えないがexternal tankの下は丸まっていて、中には液体酸素と液体窒素が入っているだけらしい。
各パーツの切り離し方も本当に興味深い。有る程度の上空にさしかかるとまずは二つのsolid rocket boosterが外側に切り離される。あとはorbiterの推進力だけで大気圏を突破する。その後、地球側にorbiter、宇宙側にexternal tankがある姿勢からいったんひっくり返ってから、external tankが切り離される。ここまでのプロセスが、発射からわずか8分ほどで終了する。最後のタンクの切り離しの映像は地球の外から、tankを落とす様子がはっきりとみえるので、神秘的にすら感じられる。
このプロセスはスキージャンプペアの日本チームによって忠実に再現されている。
下の動画の3:47くらいから注目。
話を聞いていると、日本の宇宙開拓技術は非常にさびしいもので、NASAに深く依存しているという印象を受けた。2回失敗しているとはいえ、100回以上ものスペースシャトルを宇宙に打ち上げているNASAに対し、日本は資金面で協力をし、日本人宇宙飛行士と実験棟「きぼう」を宇宙にうちあげてもらっている。日本独自のものといえば、H-IIに代表されるような小型の無人ロケット。他の大学はわからないけれども、MITには他の学科とくらべて異常な数の日本人大学院生が航空宇宙工学科に所属している。日本のすぐれた知識が、日本ではなく、海外を選ぶのは少し寂しい気もする。
今回のミッションで一番おどろいたことは、航空宇宙工学科の学生が、一般人にはまったくわからないような内容を、"一般常識"として会話をしていたこと。やっぱ宇宙好きはちがうなと思いましたよ。
NASAのwebsiteにはSTS127はもう既に終了したものとして、新しくSTS-128のミッションがトップで紹介されている。来年までに、あと8回ほどの打ち上げが予定されており、JAXAが絡むミッションは来年の3月に予定されている1回だけだという。この打ち上げはぜひ生でみてみたい。
我が家のBank of Americaのチェック宇宙柄だったね。好きだね。
返信削除おいっこ、爆笑です。
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